Q&A
アーウィナーゼ®についての
よくあるご質問
禁忌
- 電子添文2.禁忌に「L-アスパラギナーゼ製剤による重篤な膵炎の既往歴のある患者」と記載されていますが、重篤な膵炎の基準はありますか。
申請(2015年12月)当時の本剤の米国製品の添付文書(5 WARNINGS ANDPRECAUTIONS 5.2 Pancreatitis)には「臨床試験において、4%の患者で膵炎が報告されている。膵炎と一致する症状がみられる患者の評価を行い、診断を確定すること。72時間以上続く腹痛と基準値上限の2.0倍以上のアミラーゼ上昇がみられる重度の膵炎や出血性の膵炎が発現した場合は、本剤の使用を中止すること。重度の膵炎は、アスパラギナーゼの追加投与の禁忌である。軽度の膵炎の場合は、徴候や症状が沈静化し、アミラーゼも正常値に戻るまで、本剤の使用を中止する。回復すれば、本剤による治療を再開してもよい。」と記載されています。
(参考_審査報告書7.R.4.9 膵炎)
大腸菌由来のL-アスパラギナーゼ製剤の投与により膵炎を発現した患者に対する本剤の投与禁忌について
①海外におけるL-アスパラギナーゼの毒性の予防及び管理に関するガイドライン)において、アミラーゼ又はリパーゼが3日間(72時間)続いて正常値上限の3倍を超える場合、又は膵仮性嚢胞の発現に伴って膵炎が疑われる症状(嘔吐、重度の腹痛)が発現した場合には、L-アスパラギナーゼ製剤の投与を永久に中止する旨が推奨されていること、②L-アスパラギナーゼ製剤投与により膵炎が発現する旨が報告されていることを考慮し、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)及び海外第Ⅲ相試験(AALL07P2試験)においては、Grade2以上の膵炎の既往歴のある患者は除外されたこと等を踏まえ、大腸菌由来のL-アスパラギナーゼ製剤の投与によりGrade4の重篤な膵炎を発現した患者に対しては、本剤を投与すべきではないと考える。( 引用:IF Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目、審査報告書(海外におけるL-アスパラギナーゼの毒性の予防及び管理に関するガイドライン:LeukLymphoma. 2011; 52: 2237-53) )
効能又は効果
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合以外は投与できないのでしょうか。
- 投与できません。
本剤の適応症は「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫 ただし、L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る。」です。
( 引用:電子添文 4.効能又は効果 )
- 添付文書6.用法及び用量にある 「L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合」の過敏症の基準はありますか。
- 基準はありません。
国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)の対象の選択基準のひとつは「既承認のL-アスパラギナーゼ製剤の投与に起因するアレルギー反応の既往がある患者」です。
( 引用:IF Ⅴ.治療に関する項目 )
用法及び用量
- 海外でENKL(節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型:extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type)に投与した症例はありますか。
本剤における報告は見つけることができませんでした。
(2022年12月時点)
- 海外で25,000U/㎡以外の用量を投与した症例はありますか。
- 英国製品の添付文書において「推奨投与量は、20,000 または 25,000 IU/m2を週3回 (例: 月曜日/水曜日/金曜日) 投与」「治療は、地域の治療プロトコルに従って調整」と記載されています。
また、海外において25,000U/m2を超える用量を投与した報告もあります。
( 引用:https://www.medicines.org.uk/emc/product/12340 Panetta,et al.Pediatr Blood Cancer.2020:67(7) )
- 海外での投与方法を教えてください。
英国製品の添付文書における投与方法は「静脈内注入または筋肉内注射」です。
( 引用:https://www.medicines.org.uk/emc/product/12340 )
- 静脈注射は可能ですか。
本剤の用法及び用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、1日1回体表面積1m2あたり25,000Uを週3回、筋肉内投与する。」となります。
( 引用:添付文書 6.用法及び用量 )
- 添付文書6.用法及び用量に 「適宜増減」の記載はありませんが、副作用マネジメントとして用量調整を行う上で参考となるデータはありますか。
- 本剤の用法及び用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、1日1回体表面積1m2あたり25,000Uを週3回、筋肉内投与する。」です。
国内第Ⅰ相試験(OP-01-001試験)において、本剤の用量レベルを「レベル0:20,000 U/m2」、「レベル1(開始用量):25,000 U/m2」に設定していましたが、レベル0に下げた症例はなかったため、データを持ち合わせておりません。
( 引用:添付文書 6.用法及び用量
IF Ⅴ.治療に関する項目 )
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤10000K/㎡(週3回)、25000K/㎡(週1回)投与時の切替え用量を教えてください。
- 本剤の用法及び用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、1日1回体表面積1m2あたり25,000Uを週3回、筋肉内投与する。」です。
( 引用:添付文書 6.用法及び用量 )
- 本剤により過敏症が発現し、再び大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤投与に変更した症例はありますか。
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)において、該当の症例はありませんでした。
( 引用:CTD2.7.6.1.1 )
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤と等価となる本剤の用量を教えてください。
- 2種のL-アスパラギナーゼで同等に2週間アスパラギンを枯渇する用量及び投与日程は、以下の通りとされています。
・ 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ:2~3 日ごとに6,000~10,000 U/m2
・ 本剤:2~3 日ごとに20,000~25,000 U/m2
( 引用:CTD2.7.3.4 )
調製・投与
- 電子添文14.1薬剤調製時の注意に「バイアルあたり日局生理食塩液1~2mLに溶解すること。」と記載されていますが、比較データや国内臨床試験時の情報はありますか。
関連情報は持ち合わせておりません。
「用法・用量に関連する使用上の注意の設定根拠」(承認申請時資料)としては、「体表面積あたりの投与量の計算のしやすさ、また、溶解後の液量を考慮して、日局生理食塩液1~2mLに溶解」としています。そのため、各施設でのご検討をお願いしています。( 引用:CTD1.8.4.4 )
- 電子添文14.1薬剤調製時の注意に「溶液を無菌操作で無菌ポリプロピレン製シリンジにとっておき、溶解後4時間以内に使用すること。」と記載されていますが、シリンジの素材を特定している理由はありますか。
医療現場で一般的に使用されている材質であることから、ポリプロピレン製シリンジを選択しています。0.9%塩化ナトリウム溶液1mL及び2mLで溶解した本剤は、1mL及び2mLのポリプロピレン製シリンジ中、25℃/60±5%RHの条件下で4時間の安定性を確認しています。その他の材質での安定性データは持ち合わせておりません。
( 引用:IF Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 )
- 溶解液の指定はありますか。
- 本剤の薬剤調製時の注意には「バイアルあたり日局生理食塩液1~2mLに溶解すること」と記載されています。
( 引用:添付文書 14.適用上の注意 )
- 皮内反応試験を実施する必要はありますか。
- 必要性は認められていません。
( 引用:添付文書 )
- 電子添文14.2薬剤投与時の注意に 「本剤の投与液量及び患者の状態を考慮した上で、必要に応じて複数箇所へ分割投与すること。」と記載されていますが、どのような状況を想定しているのでしょうか。
投与液量が多い場合(2mL以上)を想定しています。
( 引用:英国製品の添付文書(2022年6月25日改訂版)、審査報告書 )
- 添付文書14.1薬剤調製時の注意に 「溶解後4時間以内に使用すること。溶解後4時間以内に使用しない場合は溶液を廃棄すること。」と記載されていますが、4時間以上経過するとどのような変化が起こるのですか。
- 英国製品の添付文書を参考に設定しています。
0.9%塩化ナトリウム溶液1mL及び2mLで溶解した本剤は、1mL及び2mLのポリプロピレン製シリンジ中、25℃/60±5%RHの条件下で4時間の安定性を確認しています。
( 引用:IF Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 )
薬効薬理
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤と本剤の交差反応性について教えてください。
- モルモットを用いた試験において、クリサンタスパーゼと大腸菌由来のL-アスパラギナーゼとの間で交差反応性は認められなかったことが報告されています。
臨床においては、導入療法で大腸菌由来のL-アスパラギナーゼが投与された症例の血清中に大腸菌由来のL-アスパラギナーゼに対する抗体が検出されていますが、本剤に対する交差反応性は示されていません。
( 引用:MacLennan AP,et al.Colloques Internat. 1971:197:409-424 B Wang,et al.Leukemia17.2003:1583-1588 )
臨床成績
- 高血糖は国内臨床試験では何例ですか。
24例中3例(12.5%)に血中ブドウ糖増加が認められています。
( 引用:RMP(提出年月日:令和5年6月1日) )
- 脳症は国内臨床試験では何例ですか。
24例中0例です。脳の器質的障害は認められませんでした。
( 引用:審査報告書 )
- 膵炎は国内臨床試験では何例ですか。
膵炎と判断されたのは24例中0例です。膵炎に関連すると考えられた事象は14例(58.3%)です。
内訳としては嘔吐9例(37.5%)、アミラーゼ増加5例(20.8%)、悪心4例(16.7%)、腹痛2例(8.3%)、上腹部痛1例(4.2%)です。( 引用:RMP(提出年月日:令和5年6月1日) )
- 過敏症は国内臨床試験では何例ですか。
24例中4例(16.7%)です。
内訳としてはそう痒症2例(8.3%)、蕁麻疹2例(8.3%)、咳嗽1例(4.2%)です。( 引用:審査報告書 )
- 海外第Ⅲ相試験(AALL07P2試験)と比較し、国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)のみに発現している有害事象があるのはなぜですか。
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)では好中球数減少、白血球数減少、ALT増加、血中フィブリノゲン減少等の発現率が高く、うち、好中球数減少、白血球数減少、血中フィブリノゲン減少等は国内試験のみで認められています。
海外第Ⅲ相試験(AALL07P2試験)では予め設定した臨床検査値の検査頻度は国内試験よりも少なく、一部の臨床検査値は有害事象の発現後に必要な臨床検査を実施しています。
両試験間において予め設定された臨床検査の項目及び頻度が異なっていたことが一因と考えられます。
( 引用:審査報告書 )
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)の第Ⅱ相パート、薬物動態試験の主要評価項目は「血漿中アスパラギナーゼ活性値が0.1U/mL以上であった患者の割合」とされていますが、根拠を教えてください。
- アスパラギンの枯渇を達成するために必要な血漿中L-ASP活性値は0.1 U/mL 以上である旨が報告されています。
(Br J Clin Pharmacol 2001;52:433-7、Cancer 2011;117:238-49等)
( 引用:審査報告書 )
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)の第Ⅱ相パートにおいて有効性の評価項目が抗腫瘍効果等ではなく、血漿L-アスパラギナーゼ活性値なのはなぜですか。
- 血清中アスパラギンの完全な枯渇の基準として、「血漿中L-ASP 活性値が0.1 U/mL 以上」である旨が公表論文において報告されていること(Br J Clin Pharmacol 2001; 52: 433-7、Cancer 2011;117:238-49 等)から有効性の評価項目に設定しています。
また、血漿中アスパラギン濃度低下を確認することを目的として、副次評価項目として血漿中アスパラギン濃度が3 μmol/L 以下となった患者の割合を設定しています。
( 引用:審査報告書 )
副作用
- 海外における副作用発現状況を教えてください。
- 海外第Ⅲ相試験(AALL07P2試験)と海外コンパッショネートユース試験(EMTP試験)における副作用発現状況は本剤専用サイト又は製品情報概要に掲載しています。
- 添付文書11.1重大な副作用にある 骨髄抑制の発現機序を教えてください。
- 非臨床においては、L-アスパラギナーゼは白血球の増殖反応を抑制することが報告されています。
( 引用:Ashworth LA, et al. Cancer Res.1974.34: 1353-1359 )
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤と比較して特に留意すべき副作用はありますか。
- 添付文書の重大な副作用として、本剤のみに記載があるのは「高血糖(頻度不明)」です。(2023年4月時点)
( 引用:添付文書 11.副作用 ロイナーゼⓇ添付文書 )
- 添付文書2.禁忌に 「L-アスパラギナーゼ製剤による重篤な膵炎の既往歴のある患者」と記載されていますが、本剤が膵炎を悪化させた臨床データはありますか。
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)の対象の除外基準のひとつに「Grade2以上の膵炎の既往歴のある患者」が含まれているため、データを持ち合わせておりません。
( 引用:IF Ⅴ.治療に関する項目 )
- 添付文書11.1重大な副作用に 「重篤な膵炎があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと」と記載されていますが、発現頻度はどのくらいですか。
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験、n=24)での発現頻度、重症度は以下の通りです。
【重要な有害事象の発現頻度】
アミラーゼ増加:5例5件20.8%
【最悪時の重症度別の有害事象の発現頻度】
膵炎:0例
アミラーゼ増加:Grade1(1例、4.2%)、Grade2(3例、12.5%)、Grade3(1例、4.2%)、Grade4(0例)
( 引用:CTD2.7.6 )
併用薬
- 添付文書6.用法及び用量に 「他の抗悪性腫瘍剤との併用において」と記載されていますが、臨床試験時はどのような抗悪性腫瘍剤と併用されていたのでしょうか。
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)においては、プレドニゾロン、ビンクリスチン硫酸塩、ピラルビシン塩酸塩が併用されていました。
( 引用:添付文書 16.薬物動態 )
その他
- 使用上の注意の解説に記載されている「類薬の国内電子添文」とは具体的にどの製剤を指していますか。
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤を指しています。
( 引用:CTD1.7 )
- 大腸菌由来L-アスパラギナーゼと本剤(Erwinia chrysanthemi菌由来L-アスパラギナーゼ)の過敏症の発現頻度を比較したデータはありますか。
- 持ち合わせておりません。
- 海外における承認状況を教えてください。
英国(1985年7月承認)及び日本を含む12ヵ国で承認されています(2022年8月時点)。
なお、日本における効能又は効果は、海外での承認状況とは異なるため、国内の承認内容の範囲で本剤をご使用ください。
( 引用:IF Ⅰ.概要に関する項目 )
- 抗体(抗クリサンタスパーゼ抗体)を測定できますか。
- コマーシャルで測定している企業はありません(2022年12月時点)。
- 本剤投与中に抗体(抗クリサンタスパーゼ抗体)が産生された場合、体内動態に変化はありますか。
- 海外第Ⅲ相試験(AALL07P2試験)において、抗体が測定された56例のうち、6例において本剤投与後に抗体が検出されましたが、中和抗体は検出されていません。(抗体濃度の測定に用いた波長の吸光度は、検体中に存在する本剤により影響を受ける可能性があり、抗体が発現している場合でも陰性と判断された可能性がある。)抗体が検出された6例のうち、本剤のPKに及ぼす影響を評価可能であった2例では、抗体の発現前と比較して発現時点で血清中L-ASP活性値が低下する傾向が認めらています。また、本剤のPKに及ぼす影響を評価ができなかった患者4例のうち、1例では、抗体が検出された時点において、抗体が陰性であった患者で概ね血清中L-ASP活性値が定量可能であった場合でも定量下限値(0.01286 U/mL)を下回っていました。以上より、抗体が本剤のPKに影響を及ぼす可能性はあると考えられます。
( 引用:審査報告書 )
- 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(OP-01-001試験)の第Ⅱ相パートの主要評価項目は「血漿中アスパラギナーゼ活性値が0.1U/mL以上であった患者の割合」とされていますが、どのように活性値を測定しますか?
現時点では測定可能な企業はなく、検査薬も発売されていません(2022年12月時点)。
- 添付文書9.4生殖能を有する者に 「妊娠可能な女性に対して、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。」と記載されていますが、どの程度の期間避妊すればよいでしょうか。
- 日本においては具体的な期間は定められていません。
英国製品の添付文書においては「アスパラギナーゼによる治療後、安全に妊娠または出産できる時期は不明」「予防措置として、治療終了後3ヶ月待つ」ことが推奨されています。(経口避妊薬以外、他の化学療法剤による治療も考慮する必要あり)
( 引用:添付文書 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 IF Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 )
- 添加剤の添加理由を教えてください。
- 以下( )内が添加理由となります。
塩化ナトリウム(安定剤)、ブドウ糖水和物(安定剤)、氷酢酸(pH調節剤)、水酸化ナトリウム(pH調節剤)
( 引用:CTD2.3.P.1.1 )