アーウィナーゼ®について

開発の経緯

 アーウィナーゼ®[一般的名称:クリサンタスパーゼ](以下、本剤)は、Erwinia chrysanthemi菌(Er chrysanthemi)から産生されるL-アスパラギンアミド加水分解酵素(L-アスパラギナーゼ)で327個のアミノ酸残基からなるサブユニット4分子で構成されるタンパク質である。本剤は1バイアルあたりクリサンタスパーゼ10,000Uを含む凍結乾燥注射剤である。

 本剤は、アスパラギンの枯渇が抗腫瘍効果をもたらすと考えられる急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia:ALL)、急性骨髄性白血病及び非ホジキンリンパ腫を適応症として、1985年7月に英国で承認された。

 なお、本剤は、2022年8月時点において主にALLを適応症として日本を含む12ヵ国で承認されている。

 国内では、2010年に開催された第4回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、小児血液学会・小児がん学会から開発要望があり、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断され、厚生労働省から開発要請を受けて、大原薬品工業株式会社が開発に着手した。2012年から「急性リンパ性白血病及びリンパ芽球性リンパ腫(Lymphoblastic Lymphoma:LBL)に対するエルウィニアL-アスパラギナーゼの第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験」を開始した。

 第Ⅰ相試験で早期強化療法として、本剤、プレドニゾロン(Prednisolone:PSL)、ビンクリスチン(Vincristine:VCR)及びピラルビシン(Tetrahydropyranyladriamycin:THP-ADR)の併用療法を実施する際の本剤の推奨用量(Recommended Dose:RD)の決定を主要評価項目とし、用量制限毒性(Dose Limiting Toxicity:DLT)の同定及び安全性を評価した。第Ⅱ相試験では安全性評価、薬物動態の検討を含めた有効性の探索及び酵素製剤としての薬力学的作用の評価(薬物動態試験)、有効性、安全性を総合的に評価した。

 本試験を含む臨床試験データに基づき、2015年12月に製造販売承認申請を行い、2016年12月に「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫 ただし、L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る。」の効能又は効果で承認を取得した。

特性

01

アーウィナーゼ®[一般的名称:クリサンタスパーゼ](以下、本剤)は、「急性白血病(慢性白血病の急性転化例を含む)、悪性リンパ腫 ただし、L-アスパラギナーゼ製剤に過敏症を示した場合に限る。」を効能又は効果とするEr chrysanthemi菌由来のL-アスパラギンアミド加水分解酵素製剤である。

02

本剤は、L-アスパラギンをL-アスパラギン酸とアンモニアに分解し、L-アスパラギンを枯渇させることにより、腫瘍細胞におけるタンパク合成を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

03

モルモットを用いた試験において、本剤と大腸菌由来L-アスパラギナーゼとの間で交差反応性は認められなかったことが報告されている。

04

大腸菌由来L-アスパラギナーゼ製剤に対してアレルギー反応の既往歴のある「急性リンパ性白血病」又は「リンパ芽球性リンパ腫」患者を対象に、併用療法における本剤の安全性及び有効性を評価した第Ⅱ相試験において、主要評価項目である1回目投与48時間後の血漿L-アスパラギナーゼ活性値が0.1U/mL以上であった患者の割合[90%CI]は、100[83.8, 100]%であった。

05

本剤の重大な副作用として、過敏症(頻度不明)、膵炎(頻度不明)、凝固異常(95.8%)、骨髄抑制(58.3%)、肝機能障害(66.7%)、高血糖(頻度不明)、感染症(8.3%)、脳症(頻度不明)があらわれることがある。主な副作用(10%以上)は頭痛、嘔吐、高アンモニア血症、アンモニア増加、血中アルブミン減少、血中トリグリセリド増加、CRP増加、アミラーゼ増加、総蛋白減少、血中ブドウ糖減少、血中LDH増加、血中尿素増加、発熱である。詳細は、電子添文等の副作用及び臨床成績の安全性の結果を参照。

MacLennan AP, et al. Colloq Internat CNRS. 1971; 197: 409-424

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